ハンター紀行 祖母の死

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祖母の死

2006.08.17 (Thu)
8月13日午後17時過ぎ、田舎に住む私の祖母が亡くなった。
享年91歳。

死因は交通事故による後頭部頭蓋骨折および心臓破裂。
事故後すぐに病院へ搬送され心臓マッサージを続けたものの、立ち会った親族による判断で延命措置を中止した。その後CTスキャンにより頭蓋骨骨折や心臓破裂がわかった。医師による報告から推測しほぼ即死であろうと見ると、実際には16時過ぎ頃には亡くなったのだろう。

事故の状況としては祖母が自宅前の道路を横断中に軽トラックが側面から衝突。お盆のさなかだがその時車はその1台しか通っていなかった、にもかかわらず広めの国道のど真ん中で起こった。道路に広がる血痕と車のまっすぐに伸びたブレーキ跡が生々しく痛かった。まだ警察の検証は終わっていない。

この数日間は葬儀のため田舎にいた。一通りの儀式は終わったものの、夏の暑すぎる太陽の疲れか忙しい日々が続いたためかまだ気持ちに整理がつかない。もう少し気持ちが落ち着いたら書こうと思っていたが、とりあえず前を向くためにここにメモとして書いた。

あまりにも突然の知らせだった。だが不思議なことに私も私の兄弟も、その事故の数時間前に何かしらの虫の知らせを感じていたのを、あとで話したときに知りお互いに驚いた。彼は異国の地の街角で不意にあるはずもない懐かしい線香のにおいを嗅いで、田舎への郷愁を感じたという。そろそろ帰国しなくてはと思っていたらしい。私は2時間前くらいに急激な両肩の異常な張りと重圧感を感じながら、イベント会場の椅子で強烈な睡魔に襲われた。そしてそれぞれが数時間後に電話による知らせを受けた。

だが父母含めて身内は誰もその死に目に立ち会うことができなかった。ぞれがすごく無念だ。予定ではあと2週間すれば会えていた。

戦後を生き抜いた女性だけあって足腰は相当しっかりしていた。5キロ往復くらい何事もなく歩く。自分の畑を作っており、収穫されたみごとな作物は常に自慢とともに食卓に並んだ。100歳はまず間違いなく生きるだろうとみんなで話していた。そして大往生に決まってると笑いながら話したものだった。

祖母は私が訪れることがわかると、たとえ午後遅くに私が到着するとしても朝から玄関の前でずっと待っていたことを聞いていた。到着して会うと“あーきたきた、やっときた。うれしいねぇー。待ってたよー。”と方言なまりで、同時に笑顔でいつも硬い握手を両手で交わす。私はその元気な姿に圧倒されながら“遅くなってごめん”というのが精一杯だった。食事ではおなかいっぱいだと言ってもこれもどうぞあれも食べろと私の前に料理の皿を並べる。そして会話をすれば今度はいつこれるか?とすぐ次の予定を聞きだそうとしながら現在の状況や仕事の話などを次々と質問攻めされた。そのとき私は(心で)閉口しつつもあれやこれやとなんとか話し相手になっていた。最近は耳も遠くなっていたので同じような会話を何度も何度も繰り返されるためだ。

でも今回は何もない。死を認識しつつも心のどこかで“さて今度はなんて答えようか”と常時待ち構えている私がいた。

祖母の寝顔はその事故の状況にもかかわらず非常に穏やかだった。お通夜から葬儀の間も、いくつもいくつも心で話しかけ、返ってくる祖母の答えを過去を思い出しながらの会話を繰り返している私がいた。でも最後は必ず“なかなか会いに来れなくてごめん”で終わった。人が大勢いるにもかかわらず嗚咽を抑えながらも号泣してしまう。止められなかった。遺骨は私が持って火葬場から帰ってきた。

いつかはこの突然の死と自身の理解と意義といった形でしっかり受け止めることができていくのだろうとは思うが微妙に自信がない。今後加害者との法律的な問題対処などにも向かわなくてはいけないのだろうが(多分ほとんど父にたよるのであろうが)まともに歩くことのできないふらふらの加害者が毎日訪れて祈る姿を見たとき、お互いに不幸を共有していると非常に痛ましく感じ取ってしまったためだ。彼は還暦を迎えた年だそうだ。

蛇足になるが葬儀の終わった午後にお客などが皆帰った後、事故現場で警察が急に取締りを始めた。スピード違反者が何十台も、私たちの見ている前でほんの数時間でつかまっていた。これで放置されていた危険ゾーンも少しは改善されるだろうと安堵した。と同時に

ふざけんな、今頃遅せーんだよ!!

と5人で交通整理をしている方向に向かって叫んだ私がいた。

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